お昼を食べて気分転換、散歩に出かけようと思ったら雨。

こんな日だから、心静かに真民を味わってみた。
坂村真民詩集百選】(選:横田南嶺先生

とくに心に響いた詩

【21】捨てず

西行と山頭火は
妻子を捨て
家を出た

芭蕉と放哉は
世を捨て
旅で死んだ

だがわたしは
妻子も捨てず
世も捨てず
一筋に詩を作り
どこまで行けるか
行ってみよう
詩神よ
導きたまえ
守りたまえ

【36】病める妻に

生まれてきて
よかった
そう告げ合って
世を終わろうではないか

【49】命がけ

命がけという言葉は
めったに使っても
言ってもいけないけれど
究極は命がけでやったものだけが
残っていくだろう
 疑えば花ひらかず
 信心清浄なれば
 花ひらいて仏を見たてまつる
この深海の真珠のような
ことばを探すため
わたしは命をかけたと言っても
過言ではない
人間一生のうち
一度でもいい
命を懸けてやる体験を持とう

【52】捨

先生は
変わられましたねと
いわれるが
わたしは少しも
変わっていない
ただ要らないものを
捨てただけだ

【55】つみかさね

一球一球のつみかさね
一打一打のつみかさね
一歩一歩のつみかさね
一坐一坐のつみかさね
一作一作のつみかさね
一念一念のつみかさね

つみかさねの上に
咲く花
つみかさねの果てに
熟する実

それは美しく尊く
真の光を放つ

【58】こつこつ

こつこつ
こつこつ
書いてゆこう

こつこつ
こつこつ
歩いてゆこう

こつこつ
こつこつ
掘り下げてゆこう

【62】野の花

私が愛するのは
野の花
黙って咲き
黙って散ってゆく
野の花

【66】花

何が
一番いいか
花が
一番いい
花の
どこがいいか
信じて
咲くのがいい

【67】花

花には
散ったあとの
悲しみはない
ただ一途に咲いた
喜びだけが残るのだ

【77】かすかに

かすかな花
かすかな風
かすかに生きて
かすかに終わる
これが私の願い

【95】ねがい

あなたに合わせる手を
誰にも合わせるまで
愛の心をお与え下さい
どんなに私を苦しめる人をも
すべてをゆるすまで
広い心をお授け下さい

【97】すべては光る

光る
光る
すべては
光る
光らないものは
ひとつとしてない
みずから
光らないものは
他から
光を受けて
光る

横田南嶺先生