来月講師を務めるアンガーマネジメント研修の参考になればと思ったのと、同じ著者が書いた『7日間で突然頭がよくなる本』を先日読んだところ、哲学という硬いテーマをとても読みやすく、わかりやすく解説していたので手に取りました。
怒りの作法~抗議と対話をめぐる哲学~』(小川仁志さん)


ページをめくってすぐ出てきた「はじめに」の最初の文にグッと引き込まれました。

◆はじめに-怒らないでいれば幸せか
歴史を変え、世界を動かしてきた最大の原動力は何かと問われれば、私は迷うことなく「怒り」を挙げます。
フランス革命を起こしたのは、腐敗した絶対王政の横暴に対する民衆の怒りでした。
明治維新を可能にしたのは、行き詰まる江戸幕府に対する若者たちの怒りでした。
革命だけではありません。
アメリカの公民権運動を推進したのは不合理な人種差別に対する人間の怒りであり、我が国の目覚まし戦後復興をもたらしたのも、どん底から這い上がろうとする国民の怒りにほかならなかったはずです。
つまり人間は、怒りによって進歩し、怒りによって幸福を手にしてきたといっても過言ではありません。
それは人間にとって必要不可欠の営みであるということができるのです。

印象に残った箇所

◆健全な肉体に怒りは宿る
かつて哲学者の三木清は、『人生論ノート』の中で、憎しみと怒りを区別して次のように論じています。
「今日、怒の倫理的意味ほど多く忘れられているものはない。怒りはただ避くべきものであるかのように考えられている。しかしながら、もし何者かがあらゆる場合に避くべきであるとすれば、それは憎みであって怒ではない」

◆怒るのをやめませんかと仏教はいうけれど
よく哲学と宗教の関係を聞かれるのですが、私はいつも両者は対極にあると答えています。
どういうことかといいますと、哲学は疑う営みであるのに対して、宗教は信じる営みだからです。

◆怒りを四つに分類してみる
そこでむしろ、怒りを表に出すかどうか、問題解決に結びつけようとしているかどうかという二つの指標によって分類すべきだと考えます。
そうして改めて分類してみると、
①自爆型
表に出さないうえに、問題解決に結びつけようともしない怒り
②勤勉型
表に出さないが、問題解決に結びつけようとしている怒り
③ラッパ型
表に出すが、問題解決に結びつけようとはしない怒り
④実務型
表に出して、かつ問題解決に結びつけようとする怒り
の4つに分けることができます。

◆橋下徹と石原慎太郎の呼びかけ方
その点で、先ほど例に出した橋下大阪市長と、もう一人石原東京都知事の二人は、事柄に対して本当に怒りを示せる人物だということができます。
彼らのメッセージはしっかりと国民に伝わるのです。
それが人気の秘訣でもあるのでしょう。
彼らはまず怒ります。
そしてその怒りのモードに論理に載せます。
なぜ怒っているのか、なぜメッセージを発しているのかが明確なのです。
そして筋が通っています。

◆コミュニケーションの三つの原則
ハーバーマスは、そのようなコミュニケーションが成り立たしめるために、三つの原則を提示します。
要約するとそれは、参加者が同一の言語を話すこと、参加者が事実と信じることだけを述べること、すべての当事者が対等な立場で参加することです。

怒りの作法~抗議と対話をめぐる哲学~』(小川仁志さん)