タイトルに「自伝」とありますが、実はビジネスの成功法則がぎっしり詰まった一冊でした。
“東洋の神秘”ザ・グレート・カブキ自伝


◆観客
また、プロレスというものは、相手と試合をしながら、観客も意識することを忘れてはいけない。
「こういう動きをしたら、お客さんはどう思うだろうか」
いろいろとお客さんの反応を考えながら、試合をする。
しかし、自分がやりたい技や動きをやるだけ、あるいはそれで精一杯という選手がたくさんいる。
こういうレスラーのことを、我々は「しょっぱい」というのだ。

◆立ち位置
観客の目を自分に惹きつけるのではなく、どうすれば自分が戦ってる相手やパートナーに惹きつけられるのか。
それが頭に入っていれば、相手を投げるにしても、蹴るにしても、あるいは絞めるにしても、いろいろ工夫することを覚えられる。
だから、自分の立ち位置やポジションをしっかりと認識することは、プロレスにおいてとても大切なことなのだ。

◆制限
今と違って、当時の若手はバックドロップのような大技は使えない。
これらはトップの選手が使う技で、若手はシンプルな基本技しか使ってはいけないと教えられていたからだ。
腕を取ったら腕を固め、足を取ったら足を固める。
そこから攻めて攻めて、相手が反撃してきたら、その技を受けつつ、今度はこっちが反撃し、フィニッシュに持っていく。
当時はそんな試合の組み立て方をしていた。
使える技を制限されているからこそ、観客が沸くような試合の組み立てを覚えられる。
俺は今でもそうだと思っている。

◆タイミング
毒霧は噴くタイミングが重要だ。
まずは入場してきた時に一発、緑の毒霧を噴く。
そして試合中に赤い毒霧を吹くのだが、なるべくコーナーに近い場所で相手の技を受けるようにした。
そうすると、相手は自然とコーナーに上り、飛び技を放とうとする。
その瞬間に下から相手の顔にめがけて毒霧を噴き上げるのだ。
そうすると、相手とリングを照らすライトが一直線上に並んでいるため、相手を包み込むように見える。
これが水平に噴いてしまうと、ライトの光に当たらないので、いまいち観客にわかりづらい。
あくまで下から噴き上げてこそ、観客に”毒霧”として認識されるのだ。

◆子供
幸いにも、カブキになって2年が経っても俺はトップであり続けることができた。
2年もやっていれば、ファンだって見慣れてくるはずだ。
ところが、俺は同じテリトリーでずっと飽きられずにカブキをやり続けることができた。
その要因を自分なりに考えると、やはり子供に興味を持ってもらえたからだと思う。
特に俺の噴く毒霧が彼らの興味を大いに誘ったようだ。
2色の噴き分けや噴くタイミングなど、様々な工夫が好奇心を刺激したのだろう。
子供たちは必死にその秘密を探ろうとしたが、俺はバレないように努めた。

◆衣装
衣装にしても、同じ場所で同じものを着ないようにしていた。
忍者の格好をして出てきたら、次に来た時は連獅子と俺はコスチュームをそのたびに変えていた。
今の選手たちはいつも同じ格好をしているが、観客を飽きさせない工夫は必要なのだ。

◆ファイトスタイル
俺はコスチュームだけでなく、同じ場所で同じような試合はしなかった。
ある時は相手の技を受けに受けまくって、観客が「今日のカブキはどうしたんだろう?もうやられそうだな」と思ったタイミングで、ゆっくりゆっくり起き上がって一気呵成の反撃に移る。
ある時には、その逆で序盤から一方的に攻めまくる。
プロレスに正解はない。
その時その時で観客が求めるものだって違うのだから、それを読み取って一手先を行かないと興味を持たれるような試合はできない。
ファンは高い金を払って見に来るのだから、それを満足させるのは大変だ。

◆受け身
受け身にしても、基本を身につけたら「どうすれば、より見栄えのいい技になるか?」と自分で考え、工夫していかなければならない。
相手にキレイに受け身を取ってもらうには、まずは自分がキレイに受け身を取ってやることだ。

◆説得力
1点攻めはプロレスの基本だが、最近はこれができないレスラーが多い。
しかし、自分のフィニッシュホールドを考えて攻撃を構成すれば、単純な技でも説得力を持たせることができるのだ。

読み終えて、ひさしぶりにカブキさんのお店に行きたくなりました。
かぶき うぃず ふぁみりぃ(春日)


“東洋の神秘”ザ・グレート・カブキ自伝