IoTビジネスモデル革命』(小林啓倫さん)


この本で一番番印象に残ったのが、アケルンを開発した株式会社フォトシンス代表取締役社長 河瀬航大さんのインタビューでした。 

アケルン(Akerun)
日本のベンチャー企業フォトシンスが開発した鍵をIoT化する装置
アケルンは玄関などに使われているサムターンの上にかぶせる形で取り付けるようになっており、中にある電池とモーターの力でサムターンを回すことができる。
さらに無線通信機能が備えられ、スマートフォンのアプリから解錠・施錠することができる。
専用のゲートウェイを使えば、インターネット経由で鍵の開け閉めを遠隔操作することも可能だ。

インタビュー:株式会社フォトシンス 河瀬航大様(代表取締役社長)
Q
アケルンはIoTを具体的な製品として展開することに成功した事例として、大きな注目を集めていますが、うまくいった要因は何だと思いますか?
河瀬
IoTに関する事例を見ていて違和感を覚えることがあるのですが、それはモノとインターネットをつなぐのが目的化してしまっていないか、という点です。
皆さんこの点で苦労されているのではないでしょうか。
アケルンの場合、カギをネットにつなげることが目的だったのではなく、
「カギを持ち歩くて良い生活って素敵じゃないか」
「物理的なカギってなくすと大変だよね」
「カギを受け渡すのも大変だし」
などと考えたことも出発点でした。
そうした課題に対応する仕組みを考えた時、たまたまネットが必要だったというのが、カギとIoTを組み合わせた製品を開発した理由です。
つまり課題ベースで開発を行ったのが、アケルンを軌道に乗せる上で大きかったのかなと思います。
「IoTで新規事業を立ち上げる」という意識で取り組むのではなく、何を解決したいのかを明確にすることが重要なのではないでしょうか。

Q
アケルンという授業続けていく上で注意している点はありますか
河瀬
まだ製品をリリースして間もないので、まずは絶対に必要な機能を外さないことに注力しています。
製品の機能には「マスト・ハブ(絶対に必要なもの)」と「ナイス・トゥ・ハブ(あればうれしいもの)」がありますが、IoTやスマートハウス、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメントシステム)、ビッグデータといった概念は、「ナイス・トゥ・ハブ」になりがちです。
「のどから手が出るほどほしい」という存在にはなかなかなりません。
私たちの場合、たまたまカギという製品の抱える課題が大きく、「マスト・ハブ」の機能を実現することができたと考えています。
最初はいろいろなことをやりがちなのですが、あえてそこに手を出さず、ちゃんとお客様の課題を解決できるようなサービスになっているか、自分たちが楽しそうに感じるからという理由で開発していないかに注意しています。
モノ自体はワクワクさせることが重要ですが、ソフトはお客様の課題を解決するものになっていないといけません。
そこはマネタイズにも関わってきますし、感動はモノの方で、課題解決はソフトでと切り分けています。

一番最後の言葉、グっときました。

IoTビジネスモデル革命』(小林啓倫さん)