一昔前に堀江貴文さんとともに世間を騒がせた村上ファンドの村上世彰さんの著書『生涯投資家


信頼する友人の紹介でなければ、手に取ることはなかったでしょう。
投資とはどうあるべきかの王道を綴った一冊、読み終えて村上さんに対する印象が一変しました。
第7章 日本の問題点-投資家の視点から
第8章 日本への提言
時間がない方は、この60ページだけでも読む価値は大ありです。

印象に残った箇所

キーワード:資金循環

私は投資先の企業に対して、最初にこうヒアリングする。
「たくさんの手元キャッシュや利益を生み出していない資産をお持ちのようだが、これらを今後の事業にどのように活用していく計画なのか」

企業価値の向上という視点から納得のできる回答を得られない場合、その次のステップとして、私は三つの提案をする。
第一に、より多くのリターンを生み出して企業価値を上げるべくM&Aなどの事業投資を行うことを検討し、中期経営計画などに盛り込んで、きちんと情報開示してほしい、ということ。
第二に、もしこの先数年、有効な事業投資が見込めないのであれば、配当や自己株取得などによる株主還元を行うべき、ということ。
そして第三に、どちらの選択も行いたくないのなら、MBOなどにより上場をやめるべき、という提案だ。

資金循環を促すという視点からいえば、上場企業は株主還元のみでなく、適度なレバレッジを効かせながら継続的な成長に向けて積極的な投資を行なうべきなのだ。
ひとつの企業が成長に向けて動くことで、新たな業務が派生したり仕事や雇用が創出され、その企業の価値向上だけにとどまらない経済効果をもたらす。

従業員への還元も投資も、内部留保に対する課税の案も、目的は資金を循環させることであり、その手段としての提案だ。
資金が循環し始めれば、景気は必ず回復し、経済は成長する。
物価は上昇し、企業の業績も伸びていく。

資金の循環を促すきっかけとなるのは、まずは企業がコーポレートガバナンス・コードに則り、投資や株主還元を行なって手元資金を放出しながら、余分な手元資金や銀行からの借入で賄った資金を、昇給や新規雇用へ積極的に回すことだ。
その結果、新たな仕事が生まれたり、リターンを受けた投資家が次の投資先を探したり、昇給や仕事を新たに得た人々がお金を使うようになる。
こうして景気が動き始めて市場が活性化してくると、個人も銀行に預金するだけでなく、株式投資を行なったり、不動産へ投資したりという新たな動きが生まれる。
その動きの一つひとつから、新たな税収が生まれる。

用語解説

◆上場のメリットとデメリット
企業とその経営者にとって、上場には二つのメリットがある。
ひとつは、株式の流動性が上がること。
すなわち、株式が換金しやすくなることだ。
もうひとつは、資金調達がしやすくなることだ。
逆に言えば、この二つが必要ない場合には上場する必要もない、と私は考えている。

◆コーポレート・ガバナンス
投資先の企業で健全な経営が行われているか、企業価値を上げる=株主価値の最大化を目指す経営がなされているが、株主が企業を監視・監督するための制度だ。
根底には、会社の重要な意思決定は株主総会を通じて株主が行ない、株主から委託を受けた経営者が株主の利益を最大化するために経営をする、という考え方がある。

◆ROE(自己資本利益率=Return On Equity)
企業がROEを高めるには、当期純利益を高くするか、純資産を減らすか、という二つの方法しかない。
当期純利益を上げるためには、利益を高める努力が必要だ。
純資産を減らすためには、自己株式の取得や配当などで投資家へ還元することになる。

◆累積投票制度
株主総会で複数の取締役を選任する際、各株主に対して、選任する取締役の人数と同じ数の議決権が与えられる。
株主は、その議決権を各候補者に分けて投票することもできるし、一人の候補者にすべての票を投じることもできる。
投票の結果、得票数の多いものから順次取締役に選任されるという制度だ。

村上世彰さんの投資ポリシーとは

私の投資スタイルは、割安に評価されていて、リスク度合いに比して高い利益が見込めるもの、すなわち投資の「期待値」が高いものに投資をすることだ。
投資判断の基本はすべて「期待値」にある。
(中略)
「期待値」のほか、私が投資判断を行うにあたって重要視している指標がIRR(内部収益率、Internal Rate of Return)だ。
手堅く見積もっても、IRRの数字が一五%以上であることが基準となる
(中略)
私は「期待値」とIRRにリスクの査定を加味した三点から、投資するか否かの最終的な判断を行なう。

村上世彰さんは信念を貫く人だと、本書を読み終えて感じました。

生涯投資家』(村上世彰さん)

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