本書には教育だけでなく、社会で生き延びるために必要な知恵がギュッと詰まっています。
学校の「当たり前」をやめた。』(工藤勇一さん)


◆目的と手段-学校は何のためにあるのか
学校は子どもたちが、「社会の中でよりよく生きていけるようにする」ためにあると私は考えます。
そのためには、子どもたちには「自ら考え、自ら判断し、自ら決定し、自ら行動する資質」すなわち「自律」する力を身に付けさせていく必要があります。

◆宿題-ただ「こなす」だけになっていませんか
「分からない」ことが「分かる」ようになるためには、2つの作業が必要です。
一つは分からないことを聞いたり、調べたりすること。
2つ目は繰り返すことで定着させることです。

◆運動会の「クラス対抗」も生徒自身が廃止-「誰もが楽しむ」ために
校長としての私は、生徒たちに体育祭について、たった一つのミッションを示しました。
それは「生徒全員を楽しませること」というものです。
運動が必ずしも得意ではない生徒も、また体育祭を楽しみにしてる生徒も、全員が楽しめるものにしてほしいと生徒たちに話しました。

◆生徒指導-それは本当に必要な指導ですか
私はよく教員に「どうでもよいことと、どうでもよくないことを、分けて叱りませんか」と話しています。
どうでもよいことなら軽く注意を促せばよい。
逆に、命や人権に関わること、差別や暴力といった行為には厳しく対応し、自身の行動の意味を認識させる必要があります。

◆表1 麹町中の目指す生徒像
A 言語や情報を使いこなす能力
①様々な場面で言葉や技能を使いこなす
②信頼できる知識や情報を収集し、有効に活用する
B 自分をコントロールする能力
③感情をコントロールする
④見通しをもって計画的に行動する
⑤ルールを踏まえて建設的に主張する
C 多様な集団の中で協働できる能力
⑥他者の立場で物事を考える
⑦目標達成するために他者と協働する
⑧意見の対立や理解の相違を解決する

◆「対立」とどう向き合うか
私たちにとって大切なのは、考え方に違いがあることを「当たり前」のことと捉えた上で、上位目的を見据えながら、合意形成を図っていくことです。
そしてこれこそが、これからの時代を生きる生徒たちに教えていかなければならないことだと考えます。

◆学校を「コミュニティ・スクール」に
組織に対する苦情や不平不満は、「当事者意識」と表裏の関係にあります。
自身に当事者だという意識があれば、文句を言うより先に「どうすればよいか」を考え、行動を起こします。
逆に、当事者意識がないと、「お客様感覚」で何か不都合が起きると、自分ではない周りの誰かのせいにしようとするものです。

◆「責任と権限」がやりがいを生む
私は人に仕事をお願いする際、「責任と権限」を意識しています。
人は創意工夫ができるからこそ、やりがいをもって物事に取り組むものです。
そこには緊張感も生まれますし、リスクを負って取り組むという覚悟も生まれます。

学校の「当たり前」をやめた。』(工藤勇一さん)